アウトドア志向の若いご夫婦は、所有していた建売住宅を手放し新たな家づくりを決意された。住宅ローンも完済しておらず資金計画には非常に苦慮していた。そうした状況の中にあっても、一日でも早く納得できる場で日々の暮らしを始めたいという思いを強く持たれていた。私がお会いした時点で既に、ある輸入メーカー住宅とのやり取りを経験されており、家づくりの難しさを実感している様子であった。が同時にあきらめなくても何とか道はあるという確信もお持ちのようであった。

ローコスト住宅という言葉がしばしば話題になるが、あたりまえのことながら住宅の基本性能を落とした家づくりは単に安普請の家であって、ローコスト住宅とはいえない。

ご夫婦と私は、必要十分な合理的設計に努め、適切な施工業者を選択し、楽しみながら犬二匹もあわせて５人家族の大きな土間のある家を手に入れた。今思えば、既存の建築的常識にとらわれない柔軟な思考こそが大事なポイントだったような気がする。