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佐々木敏彦
南加木屋の戸外室
櫓(やぐら)を内包する家
(S造改修工事)
施工 有限会社 松井住宅
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今回の依頼は戸外室である。
既存の建物は知多半島にある典型的農家住宅の構え。母屋や前庭は既にしっかりと手が入れられ快適に暮らされている様子。
今回東側にあった古い倉庫の老朽化・撤去に伴い屋外収納、屋外トイレ、流しを備えた戸外室を計画することとなった。敷地境界に沿うように配置したこの建物は、庭の目隠し塀の機能も兼ねている。
施主のKさんはレストランを運営しているが、お店で出す野菜等はできるだけ自身の畑で採れたものを提供するという方針で畑仕事にも精を出している。したがって母屋座敷前の手を入れた眺める庭とは別に、農作業後の後始末や友人と集まって飲んだり話したりできる「使える庭」をつくろうというのが今回のメインテーマであった。
住まいの屋外で飲んだり、食べたり、話したりというのはまったく愉しい時間であるが、ただ空いたスペースがあるだけではその場所はなかなか機能しない。通りからあるある程度のプライバシーが保たれ、屋外であっても室内と同様にふるまえるような部屋らしさを備え、風や日光を適度に制御することでこの場所に命が吹き込まれていく。
住まいを計画する場合は常々屋外との関係性を意識しているが、現実的には今回のような外トイレ、外流しまで備えた戸外室までは予算的にもなかなか手が回らない。一般的には、庭にせいぜい樹木を数本植えるというのが精一杯である。そうした意味において、小規模ながら日常生活の幅を一気に広げる効果満点のプロジェクトになった。
ここまでしっかりしたものでなくても、長く住んだ住まいにちょっとした戸外室を設けることは一考の価値がある。ただし増築することで、既存部分の良さが損なわれない様、慎重に計画しなければならないことは言うまでもない。
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