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長田町の家

Iさんと私なりの健康住宅

木造

施工  誠和建設株式会社 

この住宅は名古屋市北部の下町に建てられた2世帯住居である。

Iさんは面白い。打合わせの度にご自身で描いた平面図を持参してくる。わたしもその平面図が面白くて毎回添削をする。気がつくと、施主と設計者の立場が逆転している。何回か続けるうちになんとなく家らしくなってきた。「学校の授業だと70点くらいにはなりましたね。これで進めましょうか?」と冗談といっしょに私の案を提出。なんどもスタディーを重ねてきたIさんは私の案を瞬時に読み取り、感心しながら二つ返事でゴーサインが出たという具合である(面目躍如)。

概ね計画が確定してからは双方で材料の吟味。施主のIさんは少々アレルギー体質で、子育ての空間でもある住宅の素材には気をつけて選択したいとの要望があった。健康を謳い文句にした怪しい・或いは法外な値段の材料は山と出まわっている。建築素材は食材にも通じる。現代において完全無農薬にこだわると選択肢は果てしなく狭まる、と同時に値段も果てしなく高価になる。しかも美味しいという保障はどこにもない。Iさんと私は慎重にかつ合理的に材料を選択した。あくまでIさんと私なりの健康住宅である。

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