佐々木敏彦
市場公会堂 改修工事
何を残し何を変えるか
集会所
(木造)
施工 株式会社 田中工務店
市場公会堂 改修工事(何を残し何を変えるか) 木造平屋建
建物は横須賀線北鎌倉駅にほど近い場所に建っている。
築45年になる町内の集会所は小規模な木造平屋建てながら「公会堂」と呼ばれ皆に親しまれている。
何度かの小規模改修を経てきてはいるが、耐震補強も含め本格的な改修が必要との判断からお声掛けいただいた次第である。
建物の主な機能としては、町内活動の運営執務拠点、集会、サークル活動、裏山にある八幡神社維持管理・祭礼の場、防災拠点、避難所と多岐にわたる。
当然のことながら限られた予算の中で、「何を残し何を変えるか」はそれぞれの立場で意見が異なる場面も多い。皆が納得のいく形での合意形成が必要だ。すぐさま「リフォーム委員会」なる組織が立ち上げられ定期的に打ち合わせ、広報、有志参加によるWSも幾度となく開催され徐々に合意形成もすすんでいった。すばらしく機動力のある町内会だ。
*耐震性能アップ。
*総会など大人数の使用時少しでも広く使える工夫を、(とりわけ部屋の中央にある邪魔な柱とることできないか?)
また小さなサークル活動の時には部屋を仕切って快適に使えるように。
*大きな段差を解消して、年長者もスムーズにアクセスできる玄関を。
*使いやすい広めのキッチンがほしい。
*収納力アップを。
*すぐそばを走る横須賀線の音を緩和できる仕様を。
などなどが改修工事の目指す目標となった。
こうした古い建物の改修には、伝統的技能も含め経験ある施工業者が必須である。幸い隣の町内で古くから建設業を営む工務店さんが名乗りを上げてくれたことで現場もスムーズに事が運ぶこととなった。感謝!
PS 「建設当時としては取り立てて珍しいものではなくとも、今となってはそれなりに価値があると思えるものをなるべく残したい」と個人的な思いをもって設計に臨んだが、その思いをしっかり後押してくれたのは比較的若い世代の方々だったことが印象深いプロジェクトだった。
施工 株式会社 田中工務店