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佐々木敏彦
足助陣屋の家
大パノラマの家
木造
施工 有限会社 松井住宅
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陣屋跡という地名が、なんとも歴史を感じさせる。塩の道のひとつである三州街道(飯田街道)の拠点としてかつては栄えた場所である。現在も古い面影を残す町並みには、紅葉の名所香嵐渓と相まって観光客があとを絶たない。
敷地は街道から一筋山側に入った、静かな生活道路に面している。中山間地とはいえ、かつての宿場町はかなりの高密度である。隣地住居が近接しており、暢気な田舎屋を計画するというわけには行かない。まったくの都市型住居と意識しながら計画を進めることとなった。一階レベルでは周りを隣地住居に囲まれ見通しがきかないが、隣地南側敷地が、1メートル強低いことが功を奏し、二階レベルからは正面に香嵐渓の中心にそびえる標高254mの飯盛山、目線を移せば遠くに足助城も見て取れる。なんとも贅沢な眺めである。
生活の中心を二階レベルに配置し、一階を個室の逆転プランとした。ロフト部に上がり屋根上の外部デッキに出れば二階の眺めをはるかに越えた大パノラマが広がる。平面的には建物全体を45度振ることで、豊かな眺望を最大限広角に取り込むと同時に、近接住居からの圧迫感を和らげる構成になっている。
外壁は土佐漆喰、焼き杉、内部は中塗り土を利用したオリジナル左官、キッチン・家具等(家具工房 和 製作)も城山桜のオリジナルといった仕様で、自然素材を中心に構成されている。
地元の気象条件を良く知る工務店の薦めもあり、断熱材にはセルロースファイバーを使った高規格なものとなっている。
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